センターに立つ彼

8月9日我vs者公演の感想、兼チーム者リーダーのお話。

 

 

 

私が彼を知った日のことを、私はほとんど覚えていない。


おそらく一番古いしっかりとした記憶は、14歳の彼。
プライズの誕生日祝いに無邪気な笑顔をカメラに向けていた。若いJr.を全く知らなかった私ですら気づいた、彼のキラキラとした目の持つ、人を惹きつける力。

 

Sezy Boyzだった彼は、彼らは、当時の私には眩しすぎるほど輝いていた。
まだ、Jr.の荒波に揉まれていない、「楽しい」が前面に出ていた彼ら。「神7」だなんて呼ばれていたりもした。このまま、この輝きのまま、大切に包んで守り抜けたら。

他担ながらに、部外者ながらに、そう漠然と思いながら見ていたのを覚えている。

 

 


彼はどこにいても輝いていた。

 

なるほど、これがアイドルか。


まだまだアイドルとして未完成だった彼はそれすらも武器にしてただただ輝きを放っていて、

それは時に儚くもあった。

 

 

気づけば彼は、「チャラい」と言われるようになっていた。言動も、外見も、パフォーマンスも。確かに、“チャラ”かった。

この当時の彼を、私はあまり知らないけれど、チャラい彼は、彼じゃない気がしていた。

私の中の彼は、いつまでも“キラキラとした目をしっかり開いて、みんなの真ん中で無邪気に踊る男の子”だったから。

 


そんな私が彼を少しずつ意識し始めたのは、昨年夏のこと。

担当が出演しないからという理由で地上波ガムシャラを全く見ていなかった私の元にも
彼のリーダーとしての活躍っぷりは耳に入ってきた。

“これだから嫌いになれないんだよ~” なんて、たぶん、その時の私も言ってたと思う。

 

 

そして昨年末。

久々に見た彼の目から、輝きが消えていた。どこを見ているのか、何を映しているのか。キラキラとした、私の好きな彼の瞳はまるで“死んで”いるかのよう。

 

この当時彼に何があったのかは知らない。けれど、歌番組で、ガムシャラで、ファンを幸せにするための場で、そんな目をするのは許せなかった。

 

同時に、ちょっぴり心配だった。

 

楽しいはずのガムデミー賞でも、彼は何度も切なく俯いた。目の奥の輝きはなく、テレビに映るのは彼なのに、映っているのは彼じゃないような、そんな違和感。“楽しくない”“気分が乗らない”そんな感情を表した顔というよりも、ただただ“覇気がない”。

まるで笑い方を忘れたかのような。

 

 


この当時私は仲の良い彼のファン(私の後輩)と、彼について話した。

「もしかしたら彼は、今の彼自身の状況に納得がいっていないのかもしれないです。
今の彼は、フラッと、さりげなくジャニーズを辞めていきそうな気がします。最近そんな雰囲気を纏ってるなって感じます。」


これはただの憶測にすぎないが、確かに、言われてみれば何かに追い詰められているかのような目であった。


ただただ単純に、もったいないなぁって思っていた。

普通に笑うだけでとっても魅力的なのに。

 

 

そんな中放送されたのが、ガムシャラ!in京都。安井くんのために、京都へ行ったロケ。安井くん、大我、そして、阿部くんと彼。

ロケ中の彼は、たくさん笑っていた。やっぱり私は、彼の笑顔が好きだと確信した。

 

安井くんとの距離を完全に縮めた彼は、当時歴代最高の盛りあがりと言われたJ's party vol.8で「最高の滑り出しっすね!」というお馴染みのセリフを残すことになる。
vol.9では、彼がいないにも関わらず安井くんが彼の名前を何度も口にした。「良い奴なんだよ!」安井くんの口から、何度この言葉を聞いただろう。
輝きを取り戻した彼は、愛される力も味方につけた。

 

 

 

 

そしてこの夏。
私はさらに彼の魅力に圧倒されることになる。

 

 

 


迎えた8月9日。

運命の日。大袈裟?いや、そんなことはない。

対戦相手は前半戦で二連敗した強敵。
ファン同士も、少しピリッとしていたような、チーム者担はちょっぴり緊張感に包まれていた。


1部パフォーマンス。
2日前の7日にはなかった“煽り”“声掛け”が明らかに増えた。
目まぐるしく成長したその姿に、胸が熱くなった。

 

 

――勝った。

直感で、そう思った。

 


ところが、結果は、敗北。

 

構成と作品完成度がチーム者の武器であるとしたら、チーム我の武器は迫力と派手さだ。

パフォーマンスで勢いをつけたチーム我のみんなは、「初めてのノーミス!」と嬉しそうに口にした。その隣で、チーム者が自分たちをアピールすることはなかった。

「ここ頑張った!!」「ここ上手くいった!!!」って、もっとアピールしていいんだよ、という思いで見ていたけれど、言い出す隙もないほどチーム我は興奮状態だった。


元々おとなしい子が多いチーム者は、負けたと分かっても、あまりリアクションをとらない。“悔しい”という思いを表に出さない。その落ち着きは、見ている私たちですらハラハラするような繊細さを思わせる。

この日は対戦相手が、と!に!か!く!お喋りだったこともあって、黙り込む彼らは余計に目立ってしまった。

 


そんな時。

 

「ここで俺らが沈んだらお客さんにも、さなじいにも失礼だから!テンション上げてこうぜ!いえーい!」

 

 

その一言が、会場を救った。

チームの最年長として、対戦相手の同世代として、中立の真田くんを思って、
自ら雰囲気を変えようと一歩前に出た、萩谷。

萩谷慧悟という男を成長させるこの夏が尊くて、身も心も大きくなってる彼を見るのが嬉しくて。そんな彼に勝敗を付けるあの空間が苦しくて。

それでも、端っこで誰よりも笑って、喋って、体を張る彼を見ていると、緑色のペンライトを振る私たちが今この場で一番の笑顔でいなければならないと、ふとそう感じた。

 

そして、チーム者のメドレー。いつものように、スタンドマイクを持って登場した神宮寺。


「みなさん、、、夏休み、どこか行きましたか?」

 

予想外の言葉だった。「勝った」「負けた」「ノーミスだった」いつもはそんな話をするのに。


“海ー!”“プール!”と口々に叫ぶファンの声を彼は一つ一つ丁寧に拾った。


「海?プール?いいですね。」

 


その時の彼の表情は、とても切なくて、触れたら消えてしまいそうな儚さを持ち合わせていて。いつもより潤う目は優しく会場を見つめていて。

儚く笑う顔に、見覚えがあった。けれど。あの時とは違う、輝きが確かに瞳の中に存在していた。

 


そして彼は、優しい声で。

「いつもは、勝ち負けの話をするんですが、今日は違う話がしたいなって思って。」

 

 

 


胸が熱くなった。気づいたら、涙が流れていた。
彼なりの“悔しさ”が溢れていた気がした。

 

 

「泣くも笑うも どうせ最後は自分なんだ
わかっちゃいるけど 誰かにすがりたい」


力強く歌い始めた彼の目は少しだけうるうるしていたように思う。

それでも決して涙を流すことはなく、曲前のトークでは見せなかった、冷たく鋭い目つきで前だけを見つめていた。

 

後に続く曲も、メンバーそれぞれがとにかく力強くて。まるで悔しい思いを全て曲にぶつけているかのような荒々しさは、チーム者の“男”な部分が前面に出ていた。

今までとは明らかに違う、一歩踏み外せば“乱暴”ともとれたメドレーは、次の勝負を見据える覚悟のようにも思えた。


内に秘める熱さを持つチーム者が、その熱を放出して互いにぶつけ合うこの空間はこんなにも美しいのだと知った。

 

 

そんな1部では、急遽、“真田バンド”が結成された。この発表に、会場は興奮、興奮、そして興奮。一体となる会場、バンドのメンバーを見て神宮寺が浮かべたキラキラとした笑顔からはその日一番の“幸せ”が溢れていた。

 

 

そして、2部。
結論から言えば、全てにおいて、1部を超えてきた公演だった。チーム曲も、パフォーマンスも、メドレーも。
1部で爆発したチーム者の熱の底力を見せつけられた。

 

パフォーマンス前の、LOST MY WAY。「何かが違う」という直感。

 

こんなチーム者、見たことがない。

今までで一番ダンスが揃っていた。みんなの見つめる方向が、同じだった。

 


もしかすると、もしかするかもしれない。
不安と隣り合わせで過った期待。

 

 

予想的中。パフォーマンスは“最高”だった。

互いの名前をしっかりと呼び、ここ!という見せ場をより分かりやすく伝えるために“いくぞ!”“よし!”と声を上げて客の注目を誘導した。

 

私たちは完全にチーム者のペースに巻き込まれていた。

 

パフォーマンス後、チーム者のメンバーが笑顔でハケながらスネアドラムを叩いた彼らからも興奮が伝わってきた。

 

 

――この回は絶対に勝たせてあげたい。

負ける理由が見当たらなかった。

 

 

結果は勝利。
チーム我から奪った初の勝利に、チーム者のメンバーも嬉しさを顕わにした。


真田くんの「リズムよく保ってるね」の言葉に、「僕ら萩谷くんを軸にしているので、萩谷くんがミスったら終わりです」と語った神宮寺。
その横で、嬉しそうに笑う萩谷。

 

MCではあまり喋らなかった元太。話を振られカメラにアップされるとそこには目をうるうるさせる元太が映っていた。
黙って嬉し涙を溜めていた彼はちょっぴり恥ずかしそうで。

そんな、みんなが心温まった空間。

 

 


「勝てた~~やっと勝てましたね。」

チーム者のメドレー前のトーク。

この時の神宮寺の言葉が、とっても柔らかくて、優しくて、心の底から安堵しているのが伝わってきて。本人たちも言っていたように、強敵だったチーム我から一勝する難しさと、それを果たした嬉しさと。

 

歌い出した彼は、1部とは違う表情をしていた。

 

鳥肌が立った。
彼の鋭い目は、過去の自分たちの訣別のようで、負けた過去は振り返らない、そう語っているかのようだった。

 

 

遡ること、チーム者の初日。

彼が「青春」を歌ったというレポを見て、私は少しだけ疑問を抱いた。

若いのに、選曲センスがなんとも独特だと感じた。

 

 

なぜ彼は、この曲を選んだのだろう。

 

 

「泣くも笑うもどうせ最後は自分なんだ わかっちゃいるけど誰かにすがりたい」

勝っても負けても、言い訳はしない。思わず重ねる、彼の姿。ぴたっとハマった。

 

“誰かにすがりたい” 残酷な歌詞だと思った。
チーム者にいる彼は、すがる相手がいただろうか。

 

もし、この言葉が、この夏が始まるときの願望だとしたならば…。

 

「標識を失いながら 彷徨う悲しき青春
言葉がつたないだけです どうかわかってくれよと
まちがいだらけの空に 死にかけた青春が一匹飛んでいく」

「それでも十字路に突っ立ち 生き抜く標識を探し当て」


いつも最前線にいた彼。そんな彼だからこそ経験してきたこともきっとあるはずで。

それを“悲しき青春”と表現するこの歌詞の罪深さ。

彼の曲ではないから、彼の心の全てではないのは分かっていながらも。

 

“どうか分かってくれ”
言葉が拙い彼と、彼の周り、チーム者の訴えのような気がして。

 


「負けた者たちの泣き言は ひとひらの枯葉さ
信じるのさ永遠と未来と明日を」


1部と2部で、一番表情が違うと感じたのがここの部分だった。


1部は自分に言い聞かせているかのような強さと、負けた悔しさを滲ませる切なくて冷たい顔。

2部はとにかく鋭い目をしていた。

言葉を選ばず言うと、威嚇しているかのような目。
それが“負け”に対してなのか、相手チームに対してなのか、自分に対してなのかは分からないけれど。


彼のこの時の目を見ると、その迫力と意志の強さに圧倒されずにはいられなかった。

 


ああ、これだ。彼はこうでなくちゃ。
この彼が、好きだ。

 

何かの意思をもった目をしてセンターに立つ彼を見て、

ふと、そう思った。

 


センターに一人で立つ彼。

 

 

似合う。センターが本当に似合う。

“キラキラとした目をしっかり開いて、みんなの真ん中で無邪気に踊る男の子”だった彼は、気付けば“センターを担うアイドル”になっていた。
この夏、彼はそこで様々な表情をしてみせた。メドレーでは田島くんと挙武に挟まれて。気づけばそこに元太と萩谷まで加えて。


5人は大人によって企画のために創られた“青春”。

私たちは納得のいかない思いを抱き、不満を持ったりもした。
だけれどきっと私たちなんかよりも、彼らの方がたくさんの思いを抱えてきたのだと思うと。

その度に彼らは、それぞれの中で何とか折り合いをつけて、納得のいく言い訳を考えて、自分が傷つかないように時に言葉をも飲み込んできたのだと思うと、

あぁこれが「まちがいだらけの空に死にかけた青春が一匹飛んでいく」ってことなのかなって。

 

私たちの想像を絶するほど心が強くて、アイドルな彼らを目の当たりにした今、
“ひと夏の5人”は何よりも儚くて美しいものに見えてきた気がした。

 

 

 

さあ明日、15日。チーム者の最終戦。

いろんな憶測が飛び交っているけれど、私たちはチーム者のパフォーマンスを、いつも通り、いつも以上に応援するしかない。ただそれだけ!それだけなんです!

 

もうこの際楽しむしかない。チーム者担のみんなも、覇担のみんなも、そうじゃない人も!楽しみましょう!!!

笑顔と涙と涙と涙と、そして最後に笑顔になれるように。

 

 

あむ、げんちゃん、たじー、はぎちゃん、そして、神宮寺。

ステキな夏をありがとーー!!!!!!!!君たち5人が大好きだ!!!!!!!

 

残り少ない夏を、ちょっとでも長く過ごせますように。