「初日」を迎える君たちへ

 

「私は立ってる 憧れていたステージ 大歓声 拍手と熱気の中」

 

君は今日、ステージからどんな景色を見るだろう。去年出られなかった、Jr.の戦いに参加して。勝敗がはっきりと決まってしまう、この夏を過ごす君は、ステージで何を想うだろう。

いつも君の隣にいてくれた彼も、君がステージ端のドラムセットから見てきた大きな背中も、いない。君に与えられたのは、4人の後輩。

 

 

「全員がリーダー。一人一人が責任を持って、みんなで成長していく。」

君のチームのリーダーは決意をもってこの言葉を口にした。

 

君のチームには、“成功”“失敗”というはっきりとした指標がない。

ダンクを決めたら成功。

難易度の高いジャンプを決めたら成功。

縄にかかることなく技を決めたら成功。

クロバットを決めたら成功。

それならば、君のチームにとっての成功って、なんだろう。

 

 

出来ない自分に苛立つ子がいた。そんな彼を目の当たりにして、教える勇気を学んだ子がいた。彼の勇気は、苛立つ彼から「今年はガチで勝ちたい」と前向きな気持ちを引き出した。

 

誰よりも早く練習に参加する子がいた。経験者の君と、一緒にセッションを組むことになった子がいた。歴然とする実力の差に、合わない息に、かけられた「今ならメンバーチェンジもできる」の声に、君は「どうする?」と笑って聞いた。彼は、君に笑顔を向けた。不器用な君と、不器用な彼の、精一杯の“冗談”がそこにはあった。彼は、いつも笑顔を忘れない強さを持った。

 

 

 

「自分の壁乗り越えて 迎えた今日 チャンスの幕が開く」

 

君を中心としたドラムのセッションをするとの発表に、君は、「やばい」「一気に緊張してきた」と口走った。その顔から溢れる笑顔は「嬉しい」と言っているようで、いつもと変わらない君の笑顔はファンカッションが“勝負”のための“競技”であることを忘れさせたようだった。

 

先輩の君とみんなとの距離感は、君の不器用な優しさを掻き消したこともあった。時にそれは、勘違いさせてしまうこともあったかもしれないけれど、君がみんなを見守る目の温かさも、ふとした仕草も、ずっと見守ってきた私たちには十分すぎるほど、伝わってるよ。

 

「この競技は他の人より練習できる競技。長い期間だけど、自分との戦いだと思う。」

最年長の君は、メンバーに向けてではなく、カメラにそう語った。これを実現することがチーム者の“成功”なのかもしれない。

 

「全員がリーダー。一人一人が責任を持って、みんなで成長していく。」

リーダーは、もしかしたら分かっていたのかもしれないね。君たちのチームは、みんなで成長することで、他のチームに劣ることのない素晴らしい空気感を生み出すことを。目には見えないその強さが、チーム者にとって最大の武器になるかもしれないことを。

 

 

 

「あきらめた日もある だけどアンコールがどこかで聞こえた」

 

始まりがあるものには、終わりがある。幕が開けば、幕は閉じる。

相手のチームが勝てば、君たちのチームは負ける。

 

「夢は汗の中に芽を出してずっと待っている いつかきっと願い叶うまで」

 

優勝というこの夏の“夢”を叶えるためにも、

君たちに与えられた18公演を、勝つことが出来たならばより多くの公演を、誰よりも君たちに大切にしてほしい。

 

それが、初日を迎える君たちへの一番の願いです。

 

 

 

 

 

なんてポエマー気取りで文字を連ねながらも心の中では、ね!はぎちゃん!!!ステージに上がるときはスティック持つんだよ!?靴の色間違えちゃだめだよ!?衣装もちゃんと着るんだよ!?スティックが折れたら、MCで「折れたー!!!」って報告する前にその日のメンバーは話を聞いてくれる人がいる公演かどうか(vs我、vs覇はOK、vs武は絶対にNG)をまず考えるんだよ!?!?バナナはお菓子に入らないからね!!!!!そんな、わが子を初めての修学旅行に送り出す親のような気分でいます。

 

さて、チーム者の「初日」!

怪我をすることはきっとないだろうけれど、怪我にだけは本当に気を付けて!最後まで全力疾走で!シャッ!シャッ!シャシャシャーッ!!!

 

 

 

 

 

 

 

(BGM:「初日」/AKB48チームB)